■ワインは、人々に感動をあたえるもの
「ワインは、人々に感動を与えるもの。だから、ひとつの芸術だ」という故古賀守先生の言葉は、弊社のひとつの企業理念であり、この言葉を現実の世界、とくに日本の社会において実現しようとする点に弊社の企業活動の社会的意味と使命が存在します。
感動することができるワインとの出会いは、また、その生産者のワイン造りへと想像は広がります。飲み手の心にひろがる感動の根拠は、生産者自身のワイン造りにかける情熱であることは、容易に直観することができます。ワイン造りに情熱を燃やす生産者の生産的実践は、彼のワインが商品として世の中に出ていくこと(出荷すること)で、終結するわけではありません。一般的に、生産物は消費されてはじめてその目的を達成するといえます。生産者の情念、精神は、ワインという物質的な形をもったものに封じ込められ世の中を流通します。そして、このワインが消費されること(飲用されること)により、生産者の情念は、ワインの飲み手の精神世界に解き放たれて深い感動として再び現れるのだといえるでしょう。
■完璧な状態でのワインの流通
日本において販売されるワインが人々に感動を与えることができるかどうかは、流通過程において完璧な状態(温度管理)でワインが輸送され消費者の手に届けられるのか否かに大きくかかわります。いいかえれば、完璧な状態でワインが流通されることを絶対的な基礎として、はじめてワインは、芸術的な価値を持つことができます。このことの自覚は、ワインの流通業にかかわる企業としての生命線であると考えます。
■流通業者としての弊社は、生産者と消費者の下僕でなければならない
生産者と消費者を介する位置に存在するのが、流通業者としての弊社です。それは、生産者と消費者にとっては、なくてはならない存在です。しかし、ワインを生産し消費するという目的にとっては、流通(業)は、手段に過ぎません。それゆえ、「流通業者としての弊社は、生産者と消費者の下僕である」と自らと位置付けます。
■儲けず、損をせず
ワインを生産し消費するという目的にとっては、流通(業)は、手段に過ぎないということは、営利を目的として企業活動を行うことへの否定を意味します。企業が、その収益を目的としないというと奇異に感じられるかもしれません。しかし、営利を目的として、この流通過程にかかわれば、ワインの流通過程は、営利のための手段に落とし込められ、それによって歪められ、完璧な保管状態でのワイン流通が実現されることは、きわめて困難になります。とはいえ、損失によって社会的に存立する経営的な基盤は揺らいではなりません。それゆえ。<儲けず、損をせず>をひとつの弊社の経営理念として掲げます。
■弊社の社会的使命とは−ワイン文化の創造−
ワインは、ひとつの味覚文化であり、その香味は、人々に感動をあたえます。それは、社会的、精神的な文化であり、ガストロミーの世界と通じるものであります。弊社は、日本においてワイン文化を育み発展させるという大きな目的にために活動し、その社会的な使命を持つと考えます。